中小企業診断士って役に立つの?目指す価値あるのかな?
最近注目されつつある中小企業診断士ですが、意外とイメージしづらいですよね。断言しますが、中小企業診断士はビジネスに役に立つ、目指す価値のある資格です。ただし、取っただけでは役に立ちません。
本記事の内容は以下の通りです
本記事の内容
・中小企業診断士が役に立つ3つの理由
・「役に立たない」という噂の背景
・年代別の活用方法を解説
図にすると以下の通りです。
この記事を書いている僕はこんな人間です。
僕自身は28歳の時に合格し、30歳の時に登録をしました。診断士に合格したことでキャリア面でも大きな変化がありました。
本業では経営企画の仕事に携わり、本業以外では2021年4月時点で8社のコンサル実績を積むなどです。活動を本格化したことで更なる広がりも感じていますので、その内容を解説します。
Contents
中小企業診断士が役に立つ3つの理由
中小企業診断士の資格が役に立つ理由は3つです。
中小企業診断士が役に立つ理由
①キャリアパスが広がる
②実績を積む機会が豊富
③人脈や視野が広がる
順に解説します。
キャリアパスが広がる
中小企業診断士資格を取ることで、キャリアパスが広がります。具体的には、転職・職種転換・独立といった選択肢が増えます。
転職に有利
一番わかりやすいのは、転職へのチャンスが増えることです。
中小企業診断士の資格を持つことで次の要素をアピールできます。
スキル:基礎的なビジネス知識を有すること
経験:知識を実際に活かす経験を積んでいること
性格:目標に向かって努力を継続できること
求人の中には中小企業診断士歓迎というものもあり、一定の評価がされていることが分かります。
ちなみに僕に来る求人として多いのは、職種としてはコンサルタントや経営企画が、年収帯は800-1200万円です。
社内異動して職種転換する
次に、社内で異動できるチャンスも増えます。
「転職までは考えてないけど、新しいことにチャレンジしてみたい」という人は多いと思います。そんな人にはまずは社内転職がオススメです。僕もこのパターンです。
とはいえ、会社としては「コイツを異動させて大丈夫か?」という不安があります。そこでアピールできるのが中小企業診断士の資格です。中小企業診断士は難関資格ですし、扱う分野が幅広いので、ほとんどの部署にとって魅力的な資格です。
「なんかカッコよさそうだから経営企画部に異動したい!」という人よりも「診断士をとったから経営企画部でぜひ試してみたい」という人の方がはるかに説得力はありますよね。
転職に向けて必要な実務経験をまず社内で積むというのもアリなので、「ローリスクで何か動いてみたい」という人にもオススメです。
独立も狙える
最後に独立です。
中小企業診断士の保有者のうち、約半数は独立診断士です。実際に僕の周りでも独立診断士は多いですし、先日も仲間が独立しました。
独立の魅力は何といっても自由度と収入です。僕もいずれは独立したいなと思っている一人です。
定年退職が見えている人にとっては、本業で培った専門性を思う存分振るえる、定年退職後のライフプランとしても魅力的です。
実績を積む機会が豊富
中小企業診断士になると実績を積むチャンスが劇的に広がります。転職するにせよ昇進するにせよ、アピールできる実績の分だけチャンスが広がります。
具体的には実務従事、プロコン塾、本業への活用があります。以下で説明します。
実務従事
実務従事とは中小企業診断士が実際にクライアントに行うコンサルティング活動です。
期間はだいたい5~6日間で、指導員の先生の下、チームを組んでコンサルティングを行います。対象業種は様々、担当分野も様々です。もちろん、本業と全く異なる業界にも携わることができます。
自分が深めたい専門性があれば、その分野を中心に応募することで戦略的にキャリア形成することができます。僕は事業再生に興味があるので、事業再生案件を中心に活動しています。
どのようなキャリアを目指すにしろ、「実際にやってみた」という体験に勝るものはありません。
プロコン塾
中小企業診断士には通称「プロコン塾」と呼ばれるものがあります。独立を目指す診断士に向けて協会や支部が設けている定員制の研修です。
これも様々な種類がありますが、大きく分けてコンサルスキルを総合的に高める「総合型」と、特定分野に特化した「専門型」があります。実務に即した内容を学び、実践することで、より高度なコンサルティングが可能となります。
僕は売上が99%減少し債務超過となっており、弁護士からも匙を投げられた会社の事業再生に入り、銀行からの融資取り付けに成功しましたが、こういった活動も一つの実績と言えるでしょう。
本業で実績を積む
中小企業診断士資格により経営の視点が身に付くことで、本業での実績を上げやすくなります。知識や経験が、思考や発言に広がりと深みを持たせるからです。
営業であればお客さんとの雑談の中で課題を引き出し、実例を交えて改善策を提案することもできます。すると、「なんでそんなこと知ってるの?」「こういう場合ってどうしたらいい?」と困りごとを教えてくれるようになります。相談を解決していくことで、お客さんにとって「一取引先」から「パートナー」にポジションが上がり、長期的で太い取引関係を築けます。
社内でも同様です。上司との会議の中などで、違う観点からの補足や指摘をすることで社内の信頼がグッと上がります。「部下」から「右腕」にポジションが上がります。そうすると重要な仕事や面白い仕事が回ってきやすくなり、結果的に実績を重ねやすくなります。
人脈・視野が広がる
中小企業診断士の資格を取得することで、本業だけでは得られない人脈ができ、視野が広がります。
具体的にはプロコン塾、研究会、協会・支部活動があります。以下で説明します。
プロコン塾
プロコン塾に参加するメリットは実践経験が得られるだけではありません。良質な人脈が広がることも大きなメリットです。
ここで言う人脈とは、仲間と先生です。
プロコン塾の期間は半年~一年、費用は数万円~数十万円を要します。これだけの時間や費用を投じる参加者は、意識が高く優秀な人が多いです。
ちなみに僕はこの「総合型」のプロコン塾を一つ卒業しています。期間は7カ月、金額は約7万円でした。プロコン塾としては比較的安い部類に入りますが、貴重な週末の時間を使ってきています。メンバーには独立診断士の他、官僚や一部上場企業の部長、他士業の方など社会的にも活躍されている方も多く、錚々たる顔ぶれでした。
半年間の講義を受け、同じコンサルティングの場に身を投じることで、歳は違えど同期としての仲間意識も芽生えます。独立診断士は良い仕事を仲間内で回し合うことが多いため、この様な人脈は後の大きな武器となります。
また、講師は第一線で活躍している先生ばかりです。この先生と繋がりをもてれば卒業後も学ぶ機会を得られたり、先生経由でさらに人脈が広がったり、受注に繋がったりします。
成功している独立診断士の先生は、口を揃えて「良い師匠に巡り合うこと」が成功のポイントだと言います。講師がプロコン塾のOBであることも多いため、人脈を作る上でもプロコン塾は有効です。
研究会
プロコン塾に似た存在に「研究会」というものもあります。これは特定のテーマに沿って勉強するコミュニティで、内容は多岐にわたります。例えば、事業承継、IT、マーケティングなどがあります。面白いところだと「終活(✖就活)」など。
講義中心のところや実践を重視するところなど、運営方法も様々です。終了後の懇親会や、実践的な活動を通じて会員同士の交流も深めることで、最新の情報を入手しやすくなります。
また、研究会の主催者はその分野に詳しい独立診断士であることが多いので、その先生と近しくなり認めてもらえることで、独立後の受注にもつながっていきます。
無料のところ(資料代や場所程度)から、相応の費用がかかるところまで、様々です。
協会・支部の活動
協会や支部活動に参加することも人脈を広げるために有効です。(中小企業診断士協会の下に都道府県協会があり、その下に地域の支部がある、というイメージです)
例えば、東京都中小企業診断士協会には、実務従事支援部、能力開発推進部、研究会部、国際部、地域連携支援部、渉外部、事業推進部…といった11の部会があります。
部会に参加することでも、本業や専門分野を超えた人脈を作ることができます。診断士業務において補助金など、国の政策に絡むものは最新の情報を入手する必要がありますし、協会活動の中心にはやはり第一線で活躍されている先生が多いです。
協会内でのポジション、というよりは協会内で活躍される先生とのつながりを持つことで、更なる学びや人脈につながっていき、チャンスが広がります。
「役に立たない」説もある?
巷では、中小企業診断士を「『足の裏についた米粒』。とっても食えない」という人もいますが、本当でしょうか?
よく見かけるのは以下の内容です。
「役に立たない」と言われる内容
・資格を取っても役に立たない
・資格を取っても仕事は取れない
・他の士業に比べて専門性が低い
具体的に解説します。
資格を取っても役に立たない
資格だけでは「評論家」
「資格を取っても役に立たない」という意見があります。確かにその通りです。
資格の合格に当たって必要なのは知識だけだからです。実践の経験がない中では知識があるだけの「評論家」にすぎません。
知識だけであれば本を読んだりネットで調べれば身につきます。「知識」と「経験」両方が伴ってこそ価値を提供できる中小企業診断士です。
合格は活躍のための「入口」
実際の診断士活動を重ね、知識を実践できるようになれば市場価値はグッと高まります。
しかし、他社にコンサルティングに入るなど、普通は経験できません。「中小企業診断士」という肩書・組織があるからこそ経験できるものです。
資格の取得はゴールではありません。成長し活躍するための入口です。とった「だけ」では役に立ちません。活用することで大きなチャンスが広がります。
そのチャンスを得られると考えれば、キャリアアップに役立つ資格であることは疑いの余地はありません。
診断士は食えない?
実力と営業力が必要
「中小企業診断士はなっても食えない」という話もあります。これも確かにその通りです。
当たり前ですが、中小企業診断士になっただけで仕事は来ません。コンサルティングの実力と営業力がないと食べることはできません。
これは他の士業も同じことです。例えば弁護士だって競合はゴマンといます。仕事をとるためには、競合との差別化やブランディングができているからです。また、実力が認められるからこそクチコミでの仕事も回ってきます。
独立を考えるのであれば、他士業と同様に価値を提供する実力と、自分を売り込む営業力が必要となります。
平均売上高は501-800万円
中小企業診断士はそれなりに稼げているというデータもあります。
2016年に中小企業診断士協会が会員に対して行った調査によれば、年間売上高のうち最も多いのが501~800万円のレンジです。さらに38.0%が1,001万円以上とそれなりの比率を占めます。2005年からの調査を見ても大体は同じく501-800万円が最も多く、1,001万円以上は3割前後となっています。もっとも、調査の回答率が21.1%~55.5%と低いことや、「売上高」であるため雇用するコンサルタントの売上高も含まれることを踏まえると「平均年収」はもう少し下がる可能性もありますが、全く食えないということはなさそうです。
また、僕の周りにも個人で年間売上高2000万円、3000万円の診断士がいます。「いかに自分の強みを見つけて、ブランディングしていくか」を戦略的に取り組めば、それなりに稼げる資格であると言えます。
また、他のビジネスと異なり、開業に当たり大きな初期投資を必要としません。自分の生活費さえ稼げれば良いので、他の飲食や物販のように大量の在庫や大きな借金に頭を悩ませる可能性は低いです。
専門性が低い?
登録直後は「研修医」
「診断士は専門性が低い」という意見もあります。これは必ずしも正しくはありません。
登録直後の診断士は、医者でいえば「研修医」です。経験を重ね自分の専門を見つけ、深めていきます。
じゃあ研修医は専門性が低いか?と言えばそんなことはありませんよね。診断士も同じことです。
それぞれに専門分野がある
「経営」が扱う分野は幅広いです。一人の診断士がすべてを網羅的に極めることは現実的ではありません。その分野が不得手な診断士を捕まえて「専門性が低い」としているのであれば少し乱暴な理屈です。
これはどの士業にも言えることです。例えば医者は医学のプロですが、全ての病気や怪我に精通しているわけではありません。内科や外科に分かれており、その中でも循環器、消化器…といった専門が分かれていきます。大体のことは分かるかもしれませんが、専門的な対処が必要であれば専門医を紹介するでしょう。
中小企業診断士も同じです。経営全般のプロですが全ての分野のプロではありません。マーケティング、事業再生、事業承継、、、といった専門があります。コンサルをする中で、自分には対処困難な課題が見えたら適した専門家につなぐこともあります。
従い、中小企業診断士は専門性が低い、とは一概には言えません。
年代別の活用方法
中小企業診断士は全てのビジネスマンにとって役に立つ資格ですが、年代別でオススメの活用方法を挙げてみました。「20-30代前半」「30代前半-40代前半」「40代前半以降」に分けて解説します。
年代別の活用方法
・20代~30代前半:基礎力をつけ、キャリアの方向性を決める
・30代前半~40代前半:レア人材になる
・40代前半~:本業での昇進、独立
以下で解説します。
20代~30代前半:基礎力をつけ、キャリアの方向性を決める
社会人になったばかりの人は、仕事に慣れたり、一人前になることで精一杯だといます。しかし残りの社会人人生が長い分、この時期から勉強をしておくことで、大きなレバレッジをかけることができます。
基礎知識を学んで土台を作る
ビジネスでもスポーツでも、基礎が重要であることは言うまでもありません。
しかし、会社では業務に直結することを最優先で叩き込まれます。一日も早く戦力に育って成果を出してほしいからです。スポーツで言えばシュート練習ばかりをやっている状況です。シュートを決めるためにはその他の技術や体力が必要です。それを身に着けるため、膨大な基礎練習が必要となります。
ビジネスでも成果を出すためには基礎が必要となりますが、会社で教えてくれることは限定的です。中小企業診断士の勉強や活動を通じて網羅的に基礎知識を学べ、土台を作ることができます。
専門性や方向性を探す
本業で身に着くスキルがニッチすぎたり、特にやりたいことがないまま就職してしまった、という人も多いでしょう。僕もそんな中の一人でしたのでよくわかります(「下働き」という名の雑用が多いこと…)。
やりたいことが見つからない理由の一つは、「視野が狭いから」「できることが少ないから」ということが多いです。本業で身に着くスキルがニッチであれば、できることも増えていきません。
中小企業診断士の勉強や活用により幅広い業界を見ることができますし、コンサルティングの力もつきます。
「できる」が増えると「したい」が増えます。やりたいことがない人は、まずできることを増やすと良いでしょう。やりたいことがない中で、年収に釣られて転職を繰り返すのは危険です。
キャリア戦略を立てるためにも、中小企業診断士の取得は有効です。
30代前半~40代前半:レア人材になる
現場の最前線で活躍したり、マネジメントのポジションにつき始める世代だと思います。この世代でも中小企業診断診断士資格は役に立ちます。
専門性を増やす
専門性は複数ある方が人材としての希少価値は高まります。
よく、「100万人に1人の人材になれ」と言われます。希少性が高ければ市場価値も飛躍的に高まるため、稼げる人材になるからです。ただし、一つの分野で100万人に1人になるのはオリンピック選手になるようなもので、現実的ではありません。
しかし「100人に1人」の人材であれば手が届きそうです。3つの分野100人に1人の人材になれば、「100万人に1人」です。
1つの仕事をマスターするのにだいたい5年から10年を要すると言われるため、10-15年程度働けば2つの分野で「100人に1人」となっているはずです。
ここに3つ目の軸として中小企業診断士の経験や実績を加えることで、「100万人に1人」の道が拓けます。
専門性の応用と融合
中小企業診断士の良いところは実践の機会が豊富にあるところです。
実務従事を通じて、本業で身につけた専門性が別の業界や会社に対しても通用するのかを確かめてみましょう。他社にも通用するノウハウに修正を重ねていくことで、専門性はさらに深まります。
また、プロコン塾や研究会で新しく学んだことを実践したり、既存のノウハウと組み合わせることで、さらに希少価値を高めていくことができます。
40代前半~:本業での昇進、独立
この世代になると、社会人人生も折り返しとなります。今まで培ったノウハウをどう活かすかや、引退後どうするかを考え始める時期です。
マネジメント経験の蓄積・活用
40代にもなれば組織を率いるためのマネジメント経験も必要になってきます。中小企業診断士はマネジメントの経験を積むこともできます。
例えば実務従事です。実務従事は5-6人で行いますが、「短期間で診断しクライアントに成果物を提出する」という点では一つのプロジェクトと言えます。
指導員はいるものの、運営は原則参加者に委ねられます。そのため、プロジェクトを管理する「リーダー」という役職が設けられます。このリーダーは全体戦略をまとめあげ、各担当の進捗管理を行う役割であり、マネジメントそのものです。
また、ほとんどの場合でこの5-6人のメンバーは初対面です。メンバーの思考特性やバックグラウンドも全く異なるため、チームビルディングの経験という意味では、会社で働くよりも高度なマネジメント経験を得ることができると言えるでしょう。
セカンドキャリアとして
中小企業診断士は退職後のセカンドキャリアとしても注目をされています。長年のビジネス経験をダイレクトに活かすことができるからです。
僕が卒業したプロコン塾で同期の50代の人は「本業で培った専門性を活かして新しいことにチャレンジしたい」という方が多かったです。実際に1人の方は卒業後すぐに早期退職して独立しました。体力・知識のバランスを考えると、50代は独立にはちょうど良いのかもしれません。
僕の所属する会社でもセカンドキャリアに有効な資格として推奨されています。
まとめ
ここまでの内容をまとめます。
本記事のまとめ
・中小企業診断士は役に立つ資格である。実績を積め、人脈が広がり、キャリアアップにつながる。
・ただし、合格はゴールではない。合格してからが本当のスタート。得難い経験を得られる。
・「役に立たない」というのは診断士を断片的に語ったもの。他士業と同じく可能性広い。
・どの世代にとっても役に立つ。キャリアが深まり、人生の選択肢が広がる。
今回は中小企業診断士が役に立つか?ということを解説しました。
中小企業診断士はキャリアを広げ、人生を変える可能性がある資格です。合格に満足せず、活用して実力をつけましょう!
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