現役中小企業診断士のごまだんです!
忙しい社会人が時間を割いて勉強するなら、その資格が労力に見合う価値があるのかはすごく気になるところですよね。
そこがハッキリしないまま勉強を始めて、後で「こんなはずじゃなかった・・・」となったら時間もお金も無駄になってしまいます。
資格が自分の本業に活かせそうか、または今までの経験が活かせそうかは、学習のモチベーションにも大きく関わりますので、しっかり情報を集めることが重要です。
そこで本記事では、どんな人たちが受験しているのか、どんな人たちが合格しているのかを業界別にまとめてみました!
結論から言えば、中小企業診断士を受験する人の業界は様々ですが、合格率は金融系が高めです。
合格率の低い業界も含め、100人以上の中小企業診断士と交流のある僕の経験を交えて解説します!
ちなみに、年齢別の記事もまとめているので、よかったら読んでみてくださいね。
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【年齢層】中小企業診断士の受験層は何歳くらい?合格に有利な年代は?
中小企業診断士の勉強ってこの歳でも間に合うのかな。何歳くらいで受ける人が多いんだろう 中小企業診断士のごまだんです! 忙しい社会人が時間を割いて勉強するなら、その労力に見合う価値があるの ...
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Contents
受験者層は多様。合格率は金融機関関係者が高い傾向
一次試験の受験者層と業種別の合格率
中小企業診断士協会が発表する、令和2年度一次試験の合格率は24.82%でした(受験者は20,169人に対して合格者は5,005人)
業種別に並べると以下の通りです。
合格率トップ3をみてみると、次の通りです。
トップ3
政府系金融機関勤務:34.87%
税理士・公認会計士など自営業:31.81%
独立行政法人・公益法人など勤務:27.16%
となっています。合格率平均が24%ですから、政府系金融機関で働いている人の合格率はかなり高いですね!
また、4番目には政府系以外の金融機関(26.64%)なども入っており、やはり全体的に金融機関関係者の合格率は高めです。
金融機関の合格率が高い理由は2つ考えられます。
一つは、本業における融資業務を通じて中小企業への経営に対する基礎知識を有していることです。
もう一つは、多くの人の苦手科目になりやすい財務会計について仕事で鍛えられていることで、試験上有利になりやすいことが考えられます。
これは2位の士業においても同様です。各士業資格を有することにより、試験が免除されますし、そもそも難関資格に合格するだけのハイスペック人材ですし、試験慣れしているということもありますね。
逆にワースト3は、
ワースト3
中小企業支援機関:16.70%
学生:17.62%
研究・教育:19.47%
となっています。
研究・教育関連に従事している人は二次試験も含め合格率が低い傾向があります。
二次試験の受験者層と業種別の合格率
中小企業診断士協会が発表する、令和2年度二次試験の合格率は16.58%でした(受験者7,082人に対して合格者は1,174人)
(注)一次試験の合格者と二次試験受験者の数字が異なっているのは、科目合格制度により前年度からの繰越受験者が含まれるためです。
合格率トップ3は次の通りです。
トップ3
政府系金融機関勤務:26.89%
経営コンサルタント事業所など勤務:26.19%
政府系以外の金融機関勤務:19.30%
となっています。
やはり金融機関が圧倒的に強いですね。平均の合格率が16%ですから、政府系金融機関で働いている人の合格率は10%ほど上回る結果となっています。
僕の経験上、周囲の診断士で金融機関関係者はめちゃめちゃ多いです。
プロコン塾にも絶対に金融機関の人って複数人いますし、実務従事で4人くらいのチームを組んでも結構な確率で金融機関関連の人には出会います。
これはやはり融資という業務を通じて、取引先を経営的な観点から分析する経験が豊富だからですね。
逆にワースト3は、
ワースト3
研究・教育:3.13%
その他(無職を含む):10.59%
独立行政法人・公益法人等勤務:13.54%
となっています。
研究・教育については、一次試験と同様にワースト3に入っており、合格率はわずか3.13%に留まります。
これほど低いのは意外ですが、ここまで突出して低い背景を想像すると、「詳しすぎるから」ということも考えられます。この辺は後で解説しますね。
一次試験でトップ3に入っていた独立行政法人・公営機法人勤務の方が今度はワースト3に入っているのは特徴的ですね。。。二次試験の厳しさを思い知らされます。
僕の周りの診断士
僕は中小企業診断士として、比較的アクティブに活動している方です。プロコン塾や研究会にも所属しています。
その経験から、上記の結果を振り返ってみると、やはり金融機関が多いです。メガバンクや地銀などの民間もいれば、日本政策公庫や商工中金などの政府系もいます。
また、僕自身の印象では、プロコン塾など本気度が高い集団になると、他士業の割合もグンと増えてきます。今まで弁護士、公認会計士、税理士、社労士、行政書士などと一緒に活動しました。
普段、このような士業の先生と対等に肩を並べて仕事することはないので、めちゃめちゃ有意義な経験ですよね。
数で最も多いのは民間企業勤務ですが、業界はバラバラでメーカーもいれば流通・サービス業の方など様々です。
多い業界というのはあまりピンときませんが、強いて言えばメーカーが多い印象です。
逆に少ない業界としては戦略系のコンサルタントは少ないです。特に外資系。学生時に就活とかで名前を聞くようなコンサルファーム所属の人にはほとんど会ったことがありません。
その他、医療系とかベンチャーに所属している人も少ない印象です。
職種についてもバラバラですが、強いて言えばI T系や経営企画、営業が多いかもしれません。
一方で技術者やプログラマなどの「スペシャリスト」系は少ないです。
総じてプロジェクトを推進する立場にいる人や、ジェネラリストとして活躍する管理職など、広い視野から多角的な検討を行う立場の人が多い印象です。
合格のために注意するべきことは?
さて、ここまで業界別の合格率の傾向を見てみました。
令和2年度の傾向からは、一次/二次ともに政府系金融機関の人の合格率が高く、研究・教育機関の人の合格率は低めな傾向があります。
合格率を上げるために注意すべきポイントを解説します。
一次試験では財務会計に注意
一次試験のトップ3を見ると、財務会計に強い業界がずらりと並んでいますが、まさに財務会計の攻略が合格の1つのキモとなります。
財務会計は多くの受験者にとって苦手分野になりやすい科目です。
会計という感覚が日常生活でとっつきにくいことや、丸暗記で攻略できない理解系の科目であることが大きな要因となっています。
また、二次試験でも財務会計は事例Ⅳとして出題されます。一次試験での基礎がおろそかになったままでは二次を突破できません。
そのため、一次試験の段階から財務会計はきっちりと押さえておくことをオススメします。
僕は元々簿記二級を取っていたこともあり、だいぶ試験的には楽ができました。
もっとも、中小企業診断士試験のために簿記二級を勉強する必要はありません。
ただ、簿記二級は半年くらい勉強すればとれますし、会計の基礎を身につけることはビジネス的なメリットが大きいため、20代の人や時間に余裕のある人は勉強に値すると思います。ちなみに僕は簿記に定評のある大原に通っていました。
そんなに時間やお金かけられないよ!という人は、個別に参考書を買うなどして補強しておくのが良いでしょう。
僕の周りではスピテキが人気でした。
二次試験では思い込みに注意
二次試験は論述式です。試験に慣れていない人にはしっかりとした対策が必要です。
特に、僕のような私立文系の人!
一次試験のような選択式の問題は慣れているのですが、二次試験のような論述式は受験とかで訓練していないので、苦労する可能性が高いです。
いくつかの留意点があるのですが、その中でも最大のポイントは「思い込みを排除する」ということです。
二次試験でのあるあるミスは
「与件文に書いていないことを想像で補ってしまうこと」
です。
中小企業診断士の二次試験では「与件文に書いていることが全て」です。
大事なのでもう一回言います。
中小企業診断士の二次試験では「与件文に書いていることが全て」です!
なぜこれが大事なのか?
与件文に書いていないことが個人的な経験で補えてしまう試験だと、全ての受験生に対して公平にならないからです。
例えば、自動車部品メーカーに関する出題で、その業界で働く人しかわからない情報が必要なのであれば、不公平ですよね。
そのため、試験では回答に必要な前提条件は与件文に書いてあるのが大前提です。
逆に、書いていないことを想像してしまうと、大失敗をしかねません。
これは、ビジネス経験があればあるほど陥りがちなミスです。
優秀な人、ベテランな人ほど注意しましょう。
「研究・教育」業の人の二次試験の合格率が低いのはこのような背景があると思われます。
逆に、一次試験では合格率ワースト3だった「学生」が二次試験では4位(18.87%)と上位にいるのは、ビジネス経験が浅いことが逆に活きていると思われます。
まとめ
この記事の結論をまとめます!
本記事のまとめ
受験生の業界は様々だが、合格率は一次二次ともに金融系が高い。
職種はジェネラルな知識が求められる立場の経営企画や、管理職などリーダー的な人が多い。
一次試験では財務会計の攻略がキモ。二次試験も見据え苦手意識をなくそう。
二次試験ではまず思い込みを排除すること!大失敗の元になる
中小企業診断士は転職や異動・独立など、キャリア形成の可能性を大きく広げてくれる資格です。
しっかりと準備して、効率的な合格を目指しましょう!